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リュル・サリュース王朝が終わる

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世界最高の甘口(貴腐)ワインを造るシャトー・ディケム(Château d’Yquem)の総支配人アレキサンドル・リュル・サリュース伯爵が引退した。イケムはリュル・サリュース家が18世紀に所有してから一族によって経営され、アレキサンドル氏は1968年以来シャトーを運営してきた。1990年代にアレキサンドルと対立する親族が株式の大半をラグジュアリー・グループのルイ・ヴィトン=モエ・ヘネシー・グループ(LVMH group:Moet Hennessy Louis Vuitton)に売却したため、経営権はグループ総帥のベルナール・アルノー氏に移ったが、シャトーの運営はアレキサンドル氏が行ってきた。LVMHグループは定年を70歳に定めたため、伯爵が70歳になった5月20日をもって引退することになり、2世紀に渡って続いたリュル・サリュース家の支配が終了する。
後任には、サン・テミリオンのシャトー・シュヴァル・ブラン(Château Cheval Blanc)の総支配人を務めるピエルール・リュルトン氏がシュヴアル・ブランの責任者の地位を保ったまま、イケムのCEO兼総支配人となる。1人でボルドーの2つのトップ・シャトーの運営に当たる例は過去にないそうだ。
今後はイケムもプリムールを積極的に導入するらしく、1つの一族により古きよき伝統で運営されていたシャトーがまた1つ、生産やマーケティングにおいて近代化されることになる。
ちなみにこのLVMHグループは傘下に世界最大のシャンパンメーカー「モエ・シャンドン(Moët & Chandon)」や世界屈指の高品質シャンパンメーカー「クリュグ(Krug)」をはじめ、「ヴーヴ・クリコ・ポンサルタン(Veuve Clicquot Ponsardin)」「ルイナール(Ruinart)」「メルシエ(Mercier)」とやたらシャンパンメーカーが多い。スパークリングワインではカリフォルニア、オーストラリア、スペインでシャンドンブランドを展開する「シャンドン・エステート(Domaine Chandon Inc.)」もある。
シャンパン以外だとブランデーの「ヘネシー(Jas Hennessy & Co)」、ワインではイケム以外に、オーストラリアの「ケープ・メンテル(Cape Mentelle Vineyards LTD)」「マウントアダム(MountAdam)」、ニュージーランドの「クラウディベイ(Cloudy Bay Vineyards LTD)」、カリフォルニアの「 ニュートン(Newton Vineyards)」なんかもLVMHグループ。

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