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da vinci 2.0A DUOでSimplify3Dを使う

前回、3Dプリンター用スライサーソフト「Simplify3D」を購入した話とセットアップまでを簡単に書いたので、今回はda vinciシリーズ付属のスライスソフト「XYZware」との違いを簡単に紹介。

上はXYWwareのメイン画面。読み込めるオブジェクトの形式はSTL、NKG、3MF、3W形式で、読み込んだオブジェクトをプラットフォームのエリアに配置される。複数のオブジェクトを読み込んで一度に出力する事も可能。XYZWare画面上では画面左のアイコンをクリックして、オブジェクトの移動・回転・拡大縮小を数値やスライダーで指定できる。※3W形式は出力のみで、複数のオブジェクトの配置もオブジェクトの移動・回転・拡大縮小はできない。

同じオブジェクトをSimplify3Dに読み込んだ状態。オブジェクトを読み込んで、プラットフォーム(Simplify3Dではベッド)に配置していく作業はXYZwareと同じ。オブジェクトをダブルクリックすると、移動・回転・縮小用のフィールドが画面右に登場する。XYZwareと違い、移動・回転・拡大縮小を同時に指定できるのは便利。読み込めるファイル形式はSTLとOBJのみでXYZwareより種類は少ないが、3DプリンターではSTL形式が事実上の標準なので特に問題はない。

Simplify3Dが便利なのはメインビューの表示の視点アングルの並行移動ができる点。XYZwareでもメインビューをマウスボタンをクリックしながら移動する事で回転したり、マウスホイールの回転で拡大縮小はできるが、視点のアングルは固定なのでプラットフォームの真横から見たりはできない。Simplify3Dの方がマウスの右ボタンを押しながら移動すると視点のアングルが並行移動できるので、細かいチェックがしやすい。

基本的な設定項目のみで初心者向けのXYZware

XYZwareはダヴィンチという完成品の3Dプリンターに付属するスライスソフトだけあって、初心者で比較的簡単に操作を覚えられる半面、設定できる項目は必要最低限の機能しか備えていない。XYZwareで3Dプリンターへの出力(または3W形式の書き出し)で設定できる項目は、

  • 品質(普通/良い/非常に良い)
  • 材料(ABS/PLA)
  • 内部充填密度(0/5/10/15/20/25/30/50/90)
  • インフィルタイプ(格子/蜂の巣)
  • シェル(薄い/普通/厚い)
  • レイヤーの高さ(0.1/0.2/0.3/0.4)
  • 印刷速度(低速/標準/高速)
  • ラフトの有無
  • 底辺の有無と底辺の幅(10~20)
  • サポートの有無
  • サポートの密度(低/中/高)

の11種類。ラフト、底辺、サポートに関してはデュアルヘッドのda vinci 2.0A DUOの場合は、エクストルーダーの1か2のどちらを使うかは指定できるが、ラフトはエクストルーダー1、サポートはエクストルーダー2という指定はできない。

豊富な設定項目で細かな指定のできるSimplify3D

 

一方、Simplify3Dは有料のスライスソフトでいろいろなメーカーのいろいろな機種に対応し、各機種の性能を引き出せるようにこれでもかというくらいの設定項目がある。出力に関する設定はFFFという項目で設定する。このFFFはユーザーが任意に1から設定する事もできるが、Simplify3Dの場合はコンフィギュレーションアシスタントでプリンターメーカーとモデルを選ぶと、自動で使用するプリンターに合わせたFFFプロファイルが読み込まれ、FFF設定の「プロファイルを選択」でプリンターに合わせた設定が選べる。

FFFで設定できるのは、出力するマテリアルの設定(PLA/ABSなど)、プリントのクオリティ、エクストルーダーの設定、インフィルの割合(内部充填密度)、ラフトの有無、サポートの有無。ここまでならXYZwareの出力設定と大差はなく、わざわざ有料のSimplify3Dを買う必要はないのだが「詳細を表示」をクリックすると、一気に設定項目が増える。

「エクストルーダー」はエクストルーダーに関する設定を行う項目で、ノズルの直径や射出量を指定したり、にじみに関するコントロールの設定ができる。ダヴィンチ 2.0A DUOの場合はデュアルエクストルーダーなので、プロファイルを選べば2つのエクストルーダーにそれぞれの設定ができる。

レイヤーの設定は出力するレイヤー(層)に関する項目。レイヤーの厚み(レイヤーの高さ)はXYZwareでも設定できるが、Simplify3Dの場合は出力時に最初に描かれる第一レイヤーの高さや射出幅、速度を指定したり、底部や上部、外周部のシェルのレイヤー数を個別に指定できる。これらを使うと、底の厚みを増したり、外殻の強度を高めたオブジェクトが作成できる。

追加機能は出力時のオプションで、いきなりオブジェクトを出力せず試し書きをするスカート/プリム、ラフト、プライムピラー、オーズシールドに関する設定ができる。デュアルヘッド機の場合は、これらのどちらのエクストルーダーから出力するかも指定できる。

オーズシールド(にじみ防止シールド)はデュアルヘッド機で、多色で出力する場合にエクストルーダー切り替え時に色が混ざらないようにオブジェクトの周囲に壁のようなダミーを出力しながらエクストルーダーを切り替える事で、混色を防ぐものらしい。

インフィルはオブジェクトの内部充填密度に関する設定。以前紹介したように塗りつぶしパターンは「Rectilinear」「Grid」「Triangluar」「Wiggle」「Fast HoneyCombo」「Full HoneyCombo」の6種類から選べ、オブジェクト内部と外殻でそれぞれ違うパターンが選べるのも特徴の1つ。「内部塗りつぶしの割合」は上部の「インフィルの割合」スライダーと連動していて、0~100%まで1%単位で指定できる。また指定レイヤー毎にインフィル100%のレイヤーを挟む機能もある。

サポート材の設定も細かく指定できる。Simplify3Dのサポート材機能は、自動生成したものにユーザーが任意に追加や削除できる高機能なものなので別の機会に詳しく紹介しようと思う。基本的にはこれは何も設定しなくても良い。

温度設定はエクストルーダーやヒートベッドの温度に関する項目。デュアルエクストルーダーの場合は2つ別々に温度設定できる。またレイヤー単位で細かく温度設定できるので、最初と最後は230℃、中間は210℃で出力するといった事も可能。

ただダヴィンチの場合、フィラメントの温度はカートリッジのICチップに記録されている情報以上には上がらないので、PLAで190℃、ABSで210℃以上に上げたい場合はICチップを書き換えておく必要がある。

冷却はエクストルーダー等に装備している冷却ファンの回転数を制御する項目。レイヤー毎に細かくファン速度を制御できる。

Gcodeはプリンターに出力するGcodeに関する項目。ダヴィンチシリーズの場合、Gcodeのみのデータでは出力できないが、機種によってはここでパラメーターを調整する事で出力の微調整ができる。ダヴィンチシリーズの場合は特にユーザーが設定する事はない。

スクリプトはスライスしたオブジェクトのGcodeにプリンターで出力するためのスタートやレイヤー毎、終了等のスクリプトを追加するもの。ダヴィンチシリーズの場合、コンフィギュレーションアシスタントで使用するダヴィンチの機種を選んでいれば、必要なスクリプトや3W形式で書き出す際に必要な情報が自動で設定される。これもダヴィンチユーザーは特に変更しないでそのままにする。

その他はプリントスピードや出力時の誤差修正、フィラメントの情報などを設定する。XYZwareでは出力速度は低速/標準/高速の3段階しか設定できないが、Simplify3Dでは任意の速度で指定できる。

ダヴィンチの仕様では最大出力速度は150mm/s(9000mm/分)らしいので、XYZwareの標準が高速の半分としたら75mm/s(4500mm/分)、低速が4分の1の40mm/s(2400mm/分)とかなり速い。Smplify3Dだと40mm/s(2400mm/分)がダヴィンチの初期設定だったと思う。

高度な設定はかなり細かい制御に関する項目で、ダヴィンチの場合はここを設定してもそれほど出力結果は変わらない気がする……試した事はまだないですが。

まだまだうちも使いこなせていないですが、いろいろ設定してみるとXYZwareより凝った出力ができたり、サポート材もSimplify3Dの方が剥がしやすかったりとSimplify3Dを購入するメリットはあります。ただ1万8000円近いソフトの価値は人それぞれなので、その分をフィラメント代に使った方がいい人も多いはず。ダヴィンチの場合、Simplify3Dで大きく出力品質が変わるって事は無さそうなので……。

次回はマシンコントールを紹介予定。

 

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