26Apr
M3Dから発売されたボーデン方式の3Dプリンター「THE CRANE 3D」の中で最大の注目はクワッドエクストルーダー、すなわち4つのエクストルーダーを搭載し、フルカラー出力も可能という「THE CRANE QUAD」。何しろ昨年XYZprintingが$4000以下でフルカラー3Dプリンター「da Vinci Color」を発売して話題になったのに、それから1年も経たずに今度はその10分の1でフルカラー出力と言うのだからビックリする。しかもda Vinci ColorはPLAフィラメントを出力しながら同時にインクジェットで塗装するという方式だったが、「THE CRANE QUAD」はフィラメント4本(4色)を使い、フィラメントを調色しながら出力する方式で真のフルカラーと言える。
本体デザインはTHE CRANE 3Dシリーズ共通なので、大きな違いがない。普通クワッドエクストルーダーと言えば、エクストルーダー部分にホットエンドが4つ並ぶかエクストルーダーを自動交換するタイプで、いずれにしてもヘッド周りは大げさになるのだが、THE CRANE QUADのエクストルーダーはパッと見はシンプル。
「QuadFusion 3D Print Head」と名付けられたエクストルーダーは4イン1アウト仕様で、4本のフィラメントが1つのエクストルーダーに入り、ホットエンドで4本が溶かされて1色に調色されたものが出力される。M3Dの発表ではCMYのカラー3色とブラック(K)またはホワイト(W)あるいはトランスペアレントの4種類を同時に使う事で5万色以上が表現できる。また異なる素材のフィラメントを同時に使用する事で、サポートだけ水溶性の素材で出力するといった事も可能としている……個人的にはスカート等の出力で混合したフィラメントをリセットするとしても、この部分はちょっと懐疑的です。
またもう1つ気になっているのが現在M3Dで公開されているTHE CRANE 3Dシリーズ3機種の写真、ボーデン方式なのでヘッドにフィーダー部分が無いのは分かるのだが、本体のどこにもフィラメントのフィーダーが無いのだが、いったいどうやってエクストルーダーまでフィラメントを送りだすのだろう?
動画を見るとフィラメントをエクストルーダーに送りだす機構は特に備えていないっぽいのだが、これでどうやってボーデン方式を実現しているのかちょっと疑問。何しろ製品は発表され、予約を受け付けているもののちゃんと動作している様子の動画がほとんどないので、ある意味ではクラウドファンディング並みかそれ以下の状態。
デュアルエクストルーダーの「THE CRANE DUAL」の方も基本的には「THE CRANE QUAD」と同一な設計で
デュアルエクストルーダーもTHE CRANE QUADのQuadFusion 3D Print Headをフィラメント2本対応にしたような造り。
この2本のフィラメントで調色して多色を表現する方法は、昨年XYZprintingが「da Vinci Jr. 2.0 Mix」で実現した方法。構造的には同様だと思うが、XYZprintingがフルカラーにこの方式を4つのフィラメントを使う方法でなく、インクジェット併用で実現した辺り、この方式の難しさがありそうなだけに、M3Dがこの低価格でどこまでデュアルとクワッドエクストルーダーを安定的に出力させているのかは気になるポイント。M3Dの説明ではこのデュアルエクストルーダーはボーデン方式ではなく、ダイレクトドライブとなっているので。もしかしたらQuadFusion 3D Print Headもダイレクドライブで、シングル機のみがボーデン方式なのだろか?
シングル機のアドオン項目が
- Direct drive adapter
- Extruder expansion board
- Infrared bed leveling sensor with LED
- Hot section
- Motors
- Fans
- Nozzles
- Filaments
となっているので、やはりボーデン方式と言いながら、安定出力はダイレクトドライブなのかもしれない……もともとThe Microもエクストルーダーはダイレクトドライブの中では軽量な部類なので、その辺のノウハウは多少なりともあるだろうし。
何にしても発表、そして予約開始となっていながらも出ている情報が少なすぎて、まるでクラウドファンディングのよう。$500以下でフルカラー3D出力は野心的だけど、どこまでちゃんと実現できているのか不明なので、早期出荷分の様子を見てから安くなった価格で購入するのが無難かもしれない。