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DreamColorモデルではQSVは使用できない

2011年に登場したインテルの第2世代CoreシリーズでCPUに初めて動画のエンコーダー/デコーダー(QuickSyncVideo;略してQSV)が搭載され、ビデオ編集におけるCPU/GPUの役割は大きくなった。従来は5分の動画をMPEG-2やMPEG-4に圧縮するのに実時間(この例では5分)の何倍もの時間を必要としたのが、QSVのようなハードウェアの動画エンジンを使うことで実時間の数分の1で圧縮が終了する。またBlu-rayなどのフルHD動画の再生時のデコードでもQSVを利用することで、CPUの使用比率を大幅に下げることができるようになった。QSVはその後もCPUの世代交代と共に対応解像度が降るフルHDから4K、コーデックもMPEG-2だけなく、H.264/AVCやH.265/HEVC、VP9と対応する形式が増えている。

QSVによるハードウェアエンコード/デコードが選べない

先日、動画を編集する際にPEGASYS製のビデオ編集ソフト「TMPGEnc Video MasterWorks 7」を使ったところ、映像のエンコーダーでZBook 15 G3や他のPCでは選択できたQSVによるハードウェア処理を表す「Intel Media SDK Hardware」が選択項目になく選ぶことができなかった。選べるのはTMPGEnc Video MasterWorks 7内蔵のソフトウェア処理のエンコーダー「x264」「x265」とNVIDIAのGPUが搭載するCUDAを利用したハードウェア処理の「NVENC」のみ。

デコーダーの設定も同様で「Intel Media SDK Hardware」はメニュー内になく、TMPGEnc Video MasterWorks 7内蔵のソフトウェア処理の標準デコーダー、同じくCPUによるソフトウェア処理の「Intel Media SDK Software」、NVIDIAのGPUが搭載するCUDAを利用したハードウェア処理の「NVDEC」のみ。

CPU内蔵のGPUが無効になっている?

ZBook 15 G5が搭載するCPUのIntel Core i7 8850Hには「Intel UHD Graphics 630」というGPUが内蔵されており、このGPUにQSVも含まれる。

GPUの状況はどうなっているのかと「GPU-Z」でZBook 15 G5が搭載しているGPUを確認すると、NVIDIAの「Quadro P2000」しか選択できない。通常dGPU(CPU内蔵ではない外付けのGPU)を搭載しているPCの場合、下部のポップアップメニューでCPU内蔵のGPUとdGPUを切り替えて情報を確認できるのだが、今回はなぜかそれができない。dGPUA搭載のノートPCの場合、回路的には液晶ディスプレーに接続しているのはCPU内蔵のGPUで、dGPUに切り替えると演算処理等は外付けGPUで処理するが表示は回路が切り替わる訳ではないので物理的に回路で設足したCPU内蔵GPUから行なう。

SpeccyやWindowsのプロパティで確認しても「Intel UHD Graphics 630」の情報は表示できず、確認できるのはNVIDIAの「Quadro P2000」のみ。

この理由を考えてみると、通常の液晶パネルでは8ビット表示なのでCPU内蔵GPUでもdGPUでも液晶パネルに接続するのはどちらを経由しても問題はない。ところがDreamColorモデルは液晶パネルが10ビット表示パネルなので、CPU内蔵GPUでは液晶パネルを10ビット表示できないので問題が生じるため、「Quadro P2000」経由で液晶パネルに10ビット表示をしているため、内蔵GPU機能が選択できないのではないだろうか?10ビット表示のノート自体が少ないので、ネットを探してもこの辺りの情報がなく、確証はないのだが個人的にはそういうことなのではと推測している。

幸いな事にPascal世代のGPUである「Quadro P2000」だと、Core i7 8850H内蔵のIntel UHD Graphics 630のQSVより、Quadro P2000のCUDAを利用するNVENCやNVDECの方がエンコード/デコード処理が速く、CPUの負荷も低くなるため、トータルでの作業時間は短くなる。とは言え、せっかくVP9やH.265/HVECの10ビットプロファイルに対応したQSVの動画専用のエンコーダー/デコーダーが使えないのはちょっと持ったないない。何か切り替える方法があればいいのだが、いろいろなソフトで見る限り、Quadro P2000以外は選択できないので、DreamColorモデルはNVIDIAのCUDAを使うしかなさそう。

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