11Jul
’60~’70年の国産の機械式腕時計を何となく集めているけど、電池駆動の腕時計でも気になるモデルがいくつかある。その中の1つのシチズンの電磁テンプ式腕時計COSMOTRONを入手した。
電磁テンプ式は腕時計が機械式時計からクオーツ式に変わる時代の過渡期の製品で、機構的には機械式時計とほぼ同じ。最大の特徴は機械式時計がゼンマイ(香箱)の力を動力にしてテンプを回して動作するの対して、電磁テンプ式はこのテンプをゼンマイでなく電池の電力で動かす。そのため電池式の時計でありながら、機械式同様にカチカチと歯車が回る音がする。この電磁テンプ式、機械式時計と違ってしばらく着けていなくても時計が止まらないということで当時は大変な発明だったらしい。その反面、機構が複雑でコストがかかるのと、より安く正確に動くクオーツ式の登場でわずか数年で消えた方式で、音叉式と並んで気になる電池駆動の腕時計。
外観はそこそこ綺麗で、運針もスムーズ。風防のガラスには細かい傷はあるが、実用上は気にならない。
左斜め下にあるボタンを押すことで早送りできる。このボタンが面白くて、時計の文字盤の6時側を下(通常の向き)にしてボタンを押すと日付、12時側を下(上下逆さま)にしてボタンを押すと曜日を早送りすできる。もちろん、その機構もちゃんと動作する。
ベルトも当時の純正のもの。バックルにはCOSMOTRONのロゴが刻印されている。
1974年1月製造のモデルで型番は4-790600TA。裏ブタを磨いたら、結構綺麗になった。
ムーブメントはシチズン製の7803A。ボタン型電池(SR44SW)と対象位置にテンプが配置される。裏ブタには割と最近のOHのサインがあった。機構的には機械式時計を踏襲していので、歩度調整のネジがテンプに備わっていて歩度を調整できる。
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